“やせ薬”で痩せたい…でも危険?糖尿病薬ダイエットのリスクまとめ

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「やせ薬で簡単にダイエット」このような文言をネットの広告で目にしたことはありませんか?最近、よく聞かれるようになった「やせ薬」ですが、それは一体どんなものなのでしょうか?糖尿病病棟で勤務している看護師が、薬の実態や副作用などをまるっとわかりやすく解説します。

✅この記事でわかること
・広告やSNSで話題の糖尿病薬ダイエットの”正体”
・看護師目線で見た、自己判断で使う危険性
・実際の使用した人の状況

“やせ薬”の正体!糖尿病薬ってどういうもの?

「やせ薬」としてよく知られているのはGLP-1受容体作動薬が多いようです。薬として口から服用するタイプの「リベルサス」、直接お腹などに薬を注射するタイプの「マンジャロ」がよく聞くようになった薬の名前ではないでしょうか?「マンジャロ」はGLP-1だけでなくGIPにも作用する薬で、体重減少効果が特に高い薬とされています。
実際この薬はどちらも糖尿病患者さんにはよく使用されます。「マンジャロ」は2023年に販売が開始された薬で、病棟でも話題になったのでよく覚えています。以前はトルリシティやオゼンピックなどが主流でしたが、その2つよりも血糖改善、体重減少効果が高いことで最近はよく使用されています。つまり糖尿病を治療されている患者さんにとって、とても有効な薬であることは間違いないです。

生活習慣の改善が必要とされることの多い2型糖尿病の患者さんにとっては、血糖値を低下させる効果や食欲を抑制し体重減少を促す効果はとても有効です。しかしそれは、医師が糖尿病と診断し、その人の治療として有効な手段と判断した時に限ってのことです。体重減少効果はあくまで、副次的なもので、ダイエット薬として承認されているわけではありません薬には必ず副作用があります。その副作用と効果を比べた時に、効果が上回っていることが前提で初めて処方されるものであることを忘れてはいけません。

糖尿病薬を自己判断で使うと危険な理由

そもそも薬は医師の診断があって、その診断を元に薬剤師から処方されるのが一般的です。薬剤師は薬のプロなので、医師の診断をもみて、疑問に思えば医師に確認を取るなど、医療機関は連携して薬の処方を行っています。なぜか?それだけ薬は危険なものと認識しているからです。1人の診断だけでなく、様々な職種の目を通して、患者さんに届けることが安全につながるからです。薬の飲み合わせも危険なものがあるため、確認する必要があります。

しかし今、オンライン診療で数問質問に答えるだけで、糖尿病薬が手に入ってしまいます。これは本当に危険なことです。ダイエット外来で、医師の診断の元処方されているものとは全く信用度も安全性もかけ離れています。医師に処方されるケースと、自己判断でネット購入するケースは全く別物です。大切なのは必要な問診・検査を経た診療がなされているかです。通常、糖尿病患者さんは入院して糖尿病薬を試す人も少なくありません。その中で、低血糖になったり、薬が合わず吐き気を訴えて嘔吐してしまう方も多くいらっしゃいます。医師の管理のもとで、用量や種類を変更しながら、注射であれば打ち方を習得して自宅へ移行していきます。そうした万全な体制で退院しても、低血糖になり救急車で運ばれてくるケースも実際あります。そのくらい慎重に行うものもあることを踏まえると、簡単にネットで手に入ってしまう現状に疑問が湧きませんか?

それ以外にも、ネットで売られている糖尿病薬が本物でない可能性もあります。様々な詐欺が横行している世の中です。実際、偽物だったという報告もあるようですので注意が必要です。

“やせ薬”副作用ももちろん怖いけど、その先には…

糖尿病薬の副作用には以下のものがあります。

●吐き気
●下痢
●便秘
●急性膵炎
●低血糖
●胆のう炎 等

吐き気や下痢は比較的に起こりやすい印象です。中には急性膵炎や胆嚢炎になる方もいらっしゃいます。一見軽そうに見える副作用でも。持病や体質次第で重症化することもあります。怖いのは、その副作用が原因で病院を受診しても、保険適用にならない場合があるということ。自由診療で処方されたものなので、全額自己負担で高い薬を買ったにもかかわらず、その後の副作用治療においても全額自己負担になる可能性があります。

また、薬を使用し過度に痩せてしまった場合、薬をやめられなくなる依存性将来の不妊につながるケースもあります。現代で女性の低体重が社会問題化していますが、実際痩せなければいけないという強迫観念を持ってしまったり、ホルモンバランスの乱れで生理が止まったりと健康被害がでることがあります。健康を害しては本末転倒です。美容目的の糖尿病薬は若い女性の使用が多い印象なため、とても心配です。

そうならないために、医師の管理下で経過をみながら進める必要性があるのです。

薬は最終手段。それまでにできることは本当にない?

糖尿病治療においても、全員がすぐに薬を始めるわけではありません。まずは生活習慣や食事を見直してセルフケアを行うことがスタートです。実際私の父も一時、数値的には糖尿病でしたが、セルフケアを行い数値を下げそのまま経過観察中です。そのように病気でも安易に薬を使うわけではなく、セルフケアが第一手段です。ダイエットも同じです。「やせ薬」以外もう選択肢はないでしょうか?もし本当に必要なら、ダイエット外来として定評があるクリニックを探し、長期的にフォローしてもらえる医師を探しましょう。医師の管理のもとで行うことが安全に薬を使う上で大前提です。

気持ちはわかる。けど自分の身体を大切にしてほしい。

私自身、ダイエットを行う上で簡単で効果が出る方法を知りたい気持ちはよくよくわかるし、理解できます。私も簡単に楽に痩せたい!と何度も思ったし、いまだに思うこともあります。私の母も、祖父が使用していたマンジャロが余った時、「使ったら痩せる?」と聞いてきたことがありました。最近話題であることを知っていたとのことで、軽い気持ちで使ってみようかなとおもったとのこと。危険性を改めて説明し、使用は踏みとどまっていました。

勤務先で医師とダイエット目的での糖尿病薬使用について話したことがあります。その時医師は「糖尿病薬は糖尿病治療のために開発された薬だ。必要な人が必要な治療のために使用してほしい」と。現場でもかなりこの話題はホットで、危険な使用を心配する医療者は少なくありません。

そもそも簡単に痩せられるなら、きっと簡単にリバウンドしてしまいます。薬で痩せたなら、薬をやめれば元に戻ってしまいます。「簡単・手軽に・確実に」こんな甘い言葉に騙されないで。自分の身体は自分で守りましょう。一時的に楽に痩せる近道は、健康という一番大切なものを代償にして成り立つ危険性があることを自覚し、自分の身体を大切にしてほしいと心から願います。

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