妊娠して嬉しい気持ちはつかの間。途端に始まった地獄のつわり。その上つわりと仕事の両立は本当に過酷。つわりはちょっと気持ち悪い程度と思われがちですが、仕事や生活に大きな影響を与える深刻な症状です。現役看護師が、仕事とつわりのリアルを実体験をもとに解説します。
✅この記事でわかること
・フルタイム看護師が仕事とつわりを乗り越えた方法
・つわり中のマイナス思考の中、メンタル維持を行う方法

つわりと仕事
一般的につわりは5週目あたりから始まり、12~16週前後で症状が落ち着くといわれています。食欲不振、嘔気や嘔吐など消化器症状があり、においや味など普段は問題ないものがいきなり無理になるなど、身体が様々なものに過敏になることがあります。
私も食欲不振から始まり、匂いでの嘔気や嘔吐を経験しました。また食べると楽になる事もあれば逆により気持ち悪くなることもあり、その日によって症状も対処方法も違ったので正直最後まできちんと適応できた日はありませんでした。
その中でフルタイムで看護師勤務をしていたので、病棟の匂いや空気までもすべて拒絶でした。しまいには、病室の入ると嘔気が増し仕事にならなくなりました。看護師は案外体力勝負なところもあり、患者さんを持ち上げたり、とにかく動いて1日1万歩以上動き回る日も少なくないので、そもそも身体がしんどい中では以前のように働くこと自体が厳しいと感じました。
でも当時の私には仕事を休むという選択肢がなかったです。むしろ、助けてもらって迷惑かけている分できることを見つけて仕事には来なければと強く思っていました。その中で冷たい言葉をかけられたり、無視されることもありました。妊娠して辛い事ばかりで、妊娠するということはこんなに孤独なのかと毎日ストレスでいっぱいでした。
仕事を続ける上で役立った工夫
そんな中で仕事を行っていましたが、私自身これがあの時の私を救った工夫を3つ紹介します。
①妊娠したことを早めに伝える
私は妊娠がわかってすぐに師長に報告しました。初めての妊娠で、継続できるかの不安はありましたが、放射線や抗がん剤などの業務上で避けた方がいいことが単純に怖かったという理由で早めに伝えました。すると徐々に周りにも広まっていき、様々な場面で声をかけてくれたりとかなり優しくしていただきました。つわりの時オムツ交換を変わってくれたり、体位変換などの力仕事をしないように配慮してくださっていたりと自分が知らないところで沢山気遣いいただいていました。気遣いが嬉しい反面迷惑をかけて申し訳ないと思っていたら、同じようにつわりで苦しんだり妊娠中のトラブルで思うように働けなかった過去がある先輩が「出産したらまた頑張ればいいから」とこっそり院内のメールをくれたことは涙が出るほど嬉しかったです。今思っても、妊娠初期が一番しんどかったので、色々リスクがある中でも早めに伝えて結果的にすごく救われました。
②働き方を上司に相談する
つわりの時に病室に入れず、看護師としての仕事8割ができない時期がありました。大好きな仕事でしたが、限界を感じてもう辞めるしかないと思っていました。師長に相談した時に、できる仕事について聞かれて入退院の入力などナースステーションでできる仕事ならできそうと伝えました。すると次の日からパソコン入力係となり、様々な入力や資料を作る仕事のみとなりかなりしんどさは軽減しました。後から同僚に、あの時入力してくれたおかげで仕事はかなり減ったと言われ、あの仕事も無駄ではなかったと知りました。その後つわりが落ち着いてからは受け持ちに戻り、働くことができました。そのように『できる仕事を一生懸命やれること』が当時はとても有難く楽になった要因でした。
③仕事を一定期間まるっと休む
私はどんどん週数を追うごとにつわりが重くなっていくタイプで、最終的に動けなくなってしまい重症悪阻診断にて3週間の病欠をとることになりました。仕事を休むことに罪悪感が拭いきれなかった私ですが、診断書が出た以上は休む選択をとるしかなく家で過ごすことになりました。すると時間に制限がないので、嘔気が軽減したタイミングで食べたり寝たり、夜気持ち悪くて眠れなくも焦る必要なく起きておくこともできてかなり気持ちの面は楽に過ごせました。精神が安定すると、多少のしんどさの軽減にもつながり、結果的にはとても楽に過ごせた期間でした。

これは危険!放置が危険なつわりの症状
つわりに特効薬はありません。とにかく時が過ぎるのをひたすら待つしかできません。しかしその中でも病院を受診し、点滴やある一定の処置を受ける必要があるケースもあります。
・体重の5%を超える減少がある
・頻回嘔吐があり、水分すらも飲めない
・尿検査でケトン体が陽性となる など
私は体重が4㎏おちたことや水分がとれない状況が続き、点滴を受けました。点滴で強制的に体に水分が入り頭痛やめまいが軽減したことに感動したのを覚えています。このように処置を受けたり、入院して管理が必要になる場合も少なくないため、症状が強く出ている方は主治医と相談する必要があります。
休むことが妊婦1番の大仕事
結果的につわり中一番楽になったことは、『何も考えずにひたすら休むこと』でした。身体は正直で、辛い症状の中無理して働くとその分つわりもひどくなっていきました。よく赤ちゃんが休んでって言ってるんだよと聞きますが、何より妊娠中の自分が一刻も早く休んでゆっくりしてほしいとサインを出しているのかもしれません。
まとめ
働く女性のつわりは、本当に厳しい試練だと感じます。今までのキャリアを壊しかねないし、周りの理解が得られない場合もあります。子供か仕事かなんて選ぶことはできません。私も仕事が大好きなので、妊娠したからやめます!なんて簡単には言えません。しかし、そもそもそこは選ぶべきものではないと思います。ライフステージが変われば、妊娠する女性も出てくるだろうし、介護をする男性だってでてきます。つまり、仕事と生活を両立することは工夫次第で可能ということです。その間、いつものように仕事ができなかったり、周りに迷惑をかけることもあります。感謝の気持ちを忘れずに、その時の恩はまた違う場面で返せるように今できることを精一杯やることが大切なのではないでしょうか。
つわりと仕事の両立で悩むすべての女性へ。無理なく、助けを借りながら少しでも安心して過ごすことができることを祈っています。つわりで苦しむ方が、少しでも仕事をやめるという選択以外でつわりを乗り越えられますように。つわりは必ず終わります。きっともう少し。
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